
写真・文 井田光司
一昨年の琵琶湖大会で、470級でクラス優勝を果たした関西学院大学。その勢いで、昨年の地元西宮インカレで総合優勝を目標に掲げるが、結果は7位に甘んじた。今年こそ頂点に立つことを誓い、部員一丸で牛窓の海に挑む。
チームの中心は主将の市野直毅選手。この超学生級エースの存在が、関西学院を一気に優勝候補へと押し上げている。一年時に出場した全日本インカレ個人戦(470級)で優勝し、鮮烈デビューを飾った市野選手。続く団体戦でも個人成績トップと大暴れし、チームを久々の入賞となるクラス6位に導いた。この年から関西学院の復活劇が始まるのだが、それは彼の入部から始まったストーリー。自身の個人成績を最小失点に抑えるだけのエースではない。その熱い闘志でチームを鼓舞する姿勢は、下級生の頃からチームメイトたちに刺激を与え続けてきた。
そんな市野選手が最後のインカレを迎える今年、いったい彼が何を想い、どんなチームを作り上げているのか。その辺を聞き出すつもりで関西学院の合宿所を訪ねたのだが、あいにく取材日は市野選手が練習に不参加で、主将抜きでの取材となった。しかしながら彼の不在により、逆に関西学院のチームとしての本質を見ることができたのかもしれない。彼らの言葉と練習風景は、日本一を目指すチームのオーラを十分に纏っていた。
現在の部員は、女子マネージャーも含めて44名。艇庫を隣にする関西大学に匹敵する部員数だ。しなしながら、その練習スタイルは対照的で、取材日は470級3艇、スナイプ4艇の少数精鋭で練習を行なっていた。副将としてクルーリーダーを務める佐藤翔選手に話を聞くと、「目標は完全優勝です。とくに牛窓対策というのは意識していません。どんなコンディションでも対応できるように準備してきました。最後は精神力の勝負になると思いますが、日本一の練習量で自分たちを追い込んできましたから」。その自信に包まれた話口は、ちょっとカッコ良すぎるくらい。単に微風や潮流の対策を講じて、その場を凌ぐだけのトレーニングでは意味がない。学生レベルなど飛び越えた、絶対的な強さを求めている。佐藤選手の言葉から、そんな力強さが伝わってきた。
ただ、総合優勝を目標に掲げる関西学院であるが、近年の成績を見ると、どうしてもチーム力が470偏重の傾向にあったように感じる。クラス優勝を争うレベルにある470クラスに対して、スナイプがスコアを纏めることができずに総合の順位を落としてしまう。地元開催で期待された昨年の大会もそうだった。今年、総合優勝を狙うために必要な課題は、このスナイプチームの強化であったはずだ。その点について、スナイプのクラスリーダー酒井一樹選手に尋ねると、慎重に言葉を選びながら話してくれた。「去年までは、チーム面で欠けるところがあったのだと思います。確かに、自分たちの中で甘えがあり、悪い状況から気持ちを切り替えられずにいました。でも、今年のチームは確実にレベルが上がっています。全員でベストを出せれば、絶対に結果はついてくるはずです」。去年まで足りなかったことを埋めるため、やれることはこの一年で全部やってきた。そんな想いが見て取れた。
メインセールに印された関西学院の三日月の校章。その由来を尋ねると、生徒が成長していく様を、これから真円に満ちていく三日月になぞらえたものらしい。昨年の悔しさを胸に刻み、牛窓での雪辱に向けて、これ以上ないくらい追い込んできた選手たち。彼らの成長がその月を光で満たすとき、優勝の二文字が牛窓の海に照らし出される。
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