

1932年の創部以来、常に高いレベルの競技力を維持してきた伝統校。全日本インカレでは5回の優勝を誇るが、その全てはA級/スナイプ級時代のもの。1969年のクラス優勝(A級)が最後で、470級/スナイプ級になってからはクラス/総合ともに全日本での優勝はない。
1987年にスポーツ科学科(2003年よりスポーツ科学部)が設置されてから、スポーツ推薦入学のシステムが整備され、実績のある有力選手が集められるようになった。かつては、早稲田で競技スポーツをやりたい高校生は、浪人してでも早稲田を目指すという風潮だったのだが、この新学部が設置されてからはいわゆるセレクション(スポーツ推薦)の他、高校までの競技実績が評価対象になる自己推薦も取り入れられ、さらに附属の早稲田高等学院ヨット部からの内部進学など、競技経験豊富な人材が集まりやすくなったようだ。
2005年から現在の畠山知己監督体制となり、同年から小松一憲氏をコーチに招聘、今年からはOBで元470級ナショナルチームの吉峰秀樹氏もコーチングスタッフに加わり、クラブのシステムはかつてないほどに充実している。
「客観的に判断すれば、純粋な競技力は昨年の同じ時期と比べると劣っていると思います」
というのは主将の神谷航路。470級では史上最強ともいえる布陣で臨んだ昨年の全日本インカレだったが、琵琶湖特有の不安定なコンディションに悩まされ470級2位、スナイプ級6位、総合4位に終わっている(神谷主将は、昨年の敗因を琵琶湖のコンディションに求めるべきではなく、あくまでもインカレでの戦い方の未熟さに起因するものと受け止めている)。
「470級なら福岡経大と関西学院、スナイプ級なら関西大学あたりがライバルになると思いますが、今年のウチは狙ってクラス優勝するだけの力はないと考えています。今年の目標はあくまで総合優勝。両クラスの総合力なら早稲田が一番だと自負しています。総合優勝を狙った結果としてクラス優勝がくっついてくればいい」(神谷主将)
早稲田史上初の春・秋完全優勝という快挙を成し遂げ、定期戦も含めほとんどのレガッタ(唯一、五大学戦で日大に負けて2位)で完全優勝という、かつてないほどの戦績を上げた今年の早稲田である。キャプテンの控えめで冷徹な自己分析は、むしろ自信の表れと見ていいだろう。
しかし、盤石と思われた早稲田が、全日本インカレ直前(10月18・19日)に行われた早慶戦で、まさかの惨敗を喫した。
「油断していたわけじゃありません。自分たちの弱さが露呈しただけ、完敗でした。インカレ前に新たな弱点が見つかったので、慶應にはむしろ感謝です」(神谷主将)
関東インカレでは5位に甘んじた慶應だが、伝統の一戦でライバルに一泡吹かせた。どんなにチーム力に差があろうとも、この一戦だけはわからないというのが早慶戦。昭和7年の創部以来続いている慶應義塾大学との定期戦の通算成績は、早稲田大学の33勝32敗1引き分けと拮抗している。OBの中には、全日本インカレより早慶戦の方が重要であると考える人もいるくらい、この伝統のライバル関係は両校にとって宝物。
470級
 |  |
skipper:横田敏一 (スポーツ科学部1年 中村学園三陽高校)
crew:稲村智彦 (国際教養学部4年 逗子開成高校)
スキッパーの横田は小学校3年生からOP級をはじめ、福岡県の中村三陽高校へヨット留学、インターハイソロで3位入賞。中学ではラグビー部に所属し、神奈川県大会で3位に入った実績を持つ。クルーの稲村は逗子開成高校でヨットをはじめ、一般入試で早稲田に進学。2年時には全日本個戦でシングルハンダー3位に入っている。 |
skipper:村山航 (スポーツ科学部4年 中村学園三陽高校)
crew:作本太朗 (理工学部3年 早稲田大学高等学院)
今年の全日本個戦で2位に入ったコンビ。470級のリーダーを務めるスキッパーの村山は、琵琶湖ジュニアYCでOP級を始め、中村学園三陽高校へ進みスポーツ推薦で早稲田に進学。クルーの作本は中学時代バレーボール選手(区大会3位)で、181cmの長身。早稲田大学高等学院ヨット部でヨットを始めた。ちなみに早稲田の470級クルーは全員180cmオーバーの長身 |
 |
skipper:新郷雅史 (スポーツ科学部3年 福岡中央高校)
crew:今井 充 (商学部2年 早稲田大学高等学院)
関東個戦の優勝コンビ。福岡ジュニアYCでOP級を始めたスキッパーの新郷は、ヨット部のなかった福岡中央高校に進みながら、個人的に練習を続けてインターハイ3位に入り、スポーツ推薦で早稲田大学に進学した。クルーの今井は早稲田大学高等学院ヨット部で競技を始めた。2人の雰囲気および容貌は似ているが、血縁関係はないらしい |
スナイプ級
 |
 |
skipper:古谷信玄 (スポーツ科学部2年 福岡第一高校)
crew:鈴木恵詞 (スポーツ科学部3年 早稲田大学高等学院)
横浜ジュニアYCでOP級を始めた古谷は、福岡第一高校時代にインターハイで2004年2位、2006年優勝(いずれもクルー)という抜群の成績を残す。クルーの鈴木は、ヨットを7年間継続するため早稲田の附属を受験したという。本来はクルーの方が向いていると自認する古谷だが、全日本ジュニアスナイプでは2年連続で優勝している |
skipper:神谷航路 (スポーツ科学部4年 早稲田大学高等学院)
crew:山内達也 (文学部3年 逗子開成高校)
主将を務める神谷航路は全日本OPで初の小学生チャンピオンとなったかつてのジュニア界のスーパースター。豊富な経験を背景に、強力なキャプテンシーを発揮してクラブをまとめ牽引している。クルーの山内は逗子開成高校でヨットを始め、一般入試で早稲田に進学。現在全日本学連副委員長で、来季は委員長を務める予定 |
 |
skipper:木内蓉子 (人間科学部2年 湘南高校)
crew:岩崎佑二郎 (商学部4年 海城高校)
レギュラーメンバー唯一の女性部員となる木内は小学校3年から競技をはじめ、2002年のアジア大会女子OP級では銀メダルを獲得した実績を持つ。湘南高校時代はハンドボール部に在籍。大学からヨットを始めたクルーの岩崎は、畠山監督が舵を取る〈月光〉のクルーとして2007年のJ/24世界選手権にも出場。3番艇の位置づけながら、安定した成績が強みのコンビ |
 |
 |
|
現在の部員数は31人。内訳は4年:6人、3年:8人、2年:6人、1年:11人 と各学年に平均的に分布 |
レース艇には、チームカラーである臙脂色のビブスをサプライしたハーケンのステッカーが貼られている |